2018年ベストアルバム(前編)

本来であれば2018年中に書くつもりだったのに相当出遅れましたが、2018年のベストアルバムをつらつらと。前編。

キイチビール&ザ・ホーリーティッツ
トランシーバ・デート

2018年最も聞き、夢中になってしまったアルバム。ジャケット通り、夜のイメージの曲が多いのに暗い気持ちにならないのはメロディーか声のせいか。収録曲10曲のうち、6曲もYouTubeに上がっているから聴いてもらえば全ては伝わるけれど1曲紹介するのならこれかな。

とはいえ、1番好きなのは表題曲でもあるトランシーバ・デート。トランシーバを介さないと声が小さすぎて聞こえない相手とのデートの歌で、歌詞の独自性はもう素晴らしい。この主人公は主人公で手を握りたいと言い出せなかったりして、トランシーバでは解決できないコミュニケーション不全の曲だったりもする。終盤でバンドマンでもいいならさあ、と叫ぶ、リフレインの3回目で巻き舌になるところが最高に好きで、あの虚勢で明るい未来が想像できる。

何かのインタビューで、紅白出場も1つの目標と言っていたけれど、そんな未来を応援したい素敵なバンド。ただ、ホーリーティッツというバンド名が足かせにならないことを切に願う。

ベランダ
Any Luck to You

2018年に「Any Luck to You」と「Anywhere You Like」の2枚のアルバムが出ていますが、前者を推します。アルバム1枚のまとまりという点では明らかに後者なのですが、1行のセンスというか、韻を踏み続けて、ある種、その場しのぎ的にポップに転がっていくさまが見事なのです。特にLet’s Summerとか。あと、早い話のMVのベースの女の子が可愛すぎて良い。

永原真夏
GREAT HUNGRY

まず歌詞カードの文字量が異常。11曲の量とは思えない饒舌さにやられる。フォルテシモで歌われる1000の言葉を体現するように。

逆にオーロラの国では、どの言語も足りない、と歌われたりもするこの矛盾。ここでのあたらしい言葉とは「歌」を指すのだろう。足りない言語を歌に乗せて伝える。ある種パンクに、暴力的なほどに。ジャケットのテディベアは永原真夏そのものだ。可愛らしい外見に騙されてはいけない、熊なんだから。何よりGREAT HUNGRYなのだから、冬眠明けだ。
一撃必殺で我々を捕食する。攻撃力全振りのアルバムとなっている。

永原真夏は天才。アイコンとしてもソングライターとしてもボーカリストとしても。それに異論のある人は少ないだろうが、忘れてはならないもう1人の天才が工藤歩里だ。SEBASTIAN Xでも、音沙汰でも音楽に彩りを与えてきた彼女の存在が本作ではソロアルバムとしての性質だろうか、今までよりは小さく、サポートに徹している印象がある。次作は音沙汰あたりで全面に出た作品が聞きたい。春の悪魔の美しさよ。